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 てのなか番外篇
【コト】no/06  タネをまく、こと

「1500円」で買えないモノ

99/7/22

普段利用している新宿駅の構内に、花屋さんがある。
「花屋」というか、切り花ではなく、鉢植えや盆栽、花やハーブの苗などを扱ってる店だ。
わたしは、この店で今までに「梅」「姫りんご」、ベコニアや、母の日にはカーネイションの鉢、
忘れたが他にもいろいろ、そうだ、エアプランツもいくつか買った。

そこに、先日来、驚くべき「鉢」が売られていることに気がついた。
「ふうせんかづら」だ。
支柱に蔓がからまり、おまけにすでにいくつかの「ぼんぼり」さえついている状態で売られている。
しかも、「1500円」という値段がついていた。これには、思わず立ち止まってしまった。

「ふうせんかづら」に関しては、以前書いた
「雑草」同然であちこちに自生してる植物が、こんな値段になるのかぁ、と考え込んでしまった。
その横には、まだ、花のない朝顔の鉢が並んで売られていた。

思えば、いわゆる「ガーデニング・ブーム」が騒がれはじめてから、「タネ」のコーナーが
隅っこに追いやられているような気がする。
昔は、「園芸や」といえば、タネがメインだったと記憶している。タネの他は、野菜の苗があったくらいだ。
今のように、外国から入ってきた品種の、色とりどりの「花の苗」はなかったから、 園芸好きのひとたちは、
梅雨入前あたりの時期、夏にむけて朝顔やらなんやらのタネを蒔いていたのだ。
小学校の授業でも、観察を目的に、「朝顔」をタネから育てた。

偶然にも、我が家のベランダは、春先から「タネから育ったモノたち」が手厚い扱いをうけている。
ひとつは、昨年のこぼれ落ちたタネから育った「ペチュニア」。
当然のことながら、ポットに入って売られているモノにくらべると、どうしようもなくささやかに
花を咲かせたのだが、母は、我が家に来る客人をわざわざベランダにまで連れてゆき、御自慢の様子だった。
もちろん、彼女の趣味で、ポットの苗を寄せ植えにした鉢はいくつもあるのだが、 その中で「タネ育ち」の
ペチュニアは、周りの寄せ植え鉢からすればどうしようもなく“しょぼくれて”いたにもかかわらず、
母にとっては特別なモノだったらしい。その“しょぼくれ”には似つかわしくないような、レリーフのある、
小洒落た素焼きの鉢に、その「ペチュニア」は鎮座ましましておられる。

あとは、「豆」。
グリーンピースごはん用に買ってきたはずが、使わず終いでしばらくほっておかれたおかげで、
その豆たちのいくつかから、芽がでてきてしまった。
すかさず、「タネ蒔きブーム」真っ最中だった母は、それらを植木鉢に植えた。
見事なまでに、直に二葉が出、ついには蔓まで伸ばし始め、急いで朝顔用の支柱を立ててやった。
やがて、花が咲き「豆ベイビー」が、そこここに現れた。
勢いがついた母は、ついに「じゃがいも」の部にまでテをだした。
今現在、直径25センチほどの深めの鉢に6本もの「じゃがいも」が成長を続けている。
「いもベイビー」が姿を現わしてくれるかどうかは、まだわからないが、万が一、収穫できたアカツキには、
ぜひ「じゃがバタ」で楽しみたいものである。

「タネを蒔き、そして、その成長のヨロコビを享受すべし」

たしかに、きれいに咲きそろったポットをいくつか買ってきて、寄せ植えの鉢をつくれば、
インスタントに 「それらしいカンジ」は味わえる。
でも、ただそれだけ、である。あまりにもつまらない。

先日、母がわたしに言った。
「ペチュニアの鉢、あなたの部屋の窓からみえるところに置いてあるの、知ってた?」
近頃、忙しさにかまけて、ついつい我が家のベランダさえ満足に見ることがなかった。

「1500円」の値がついた「ふうせんかづら」の鉢をみて、
1500円じゃ買えない“ジカンとタノシミ”を 思い出し、早速「タネを蒔かねば、」と思い立った。


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