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 てのなか番外篇
【モノ】no/08  『美術という見世物』 木下直之著

「しょせんは“見世物”」ですと??

00/11/26
「追加情報!」は、ここをC L I C K !! 11/17/03

 

今、論文を書いている。
美術が専門なので、そういう類いのテーマだけども、どうも到達点は「で、“美術”ってなんなのさ?」である。
今、日本で、本気でこの分野を考えるヒトたちが一番興味を持って取り組んでいるのは、まさに「美術」について
であるといっても過言ではない。

言い切ったよ。

だからこそ、ビジュツは「美術」(括弧ビジュツ括弧閉じ、と読む)と書く。 わたしも、そのあたりが書きたいと
思ってて、そこに至るルートを探ってるワケです。 このコトについては、追々書くよ。というか、書きたい。
けど、そんなカンタンなコトでもなさそう。やばい。長き道になりそう。やなトコに足つっこんじゃったみたいだよ。

‥‥なんのコトだ??
きっと、そう思われるにちがいない。そのコトを考えてる先達がお書きになったのが、この本。

今回は、ちょいイントロ。
この国で「美術」というモノは、そもそも「近代」以降に成立したものである、というのが、まず、このテーマの
大前提。
よく「現代ビジュツ、って、さっぱりわからないわ。そもそも、あれは“ビジュツ”なのかしらん?」という、
美術館巡りが御趣味でいらっしゃるオクサマ方のお嘆きと、深くふかーく関係があり。
このあたりのコトは、今回は割愛。
で、「近代」とは、なんぞや?となるわけですが、乱暴に言っちまえば、「明治以降に押し進められた、日本人を
“文明人=西洋人”に仕立てあげるための新しいシステム」。その中に「美術」も含まれていた。
もともと「わしらのモン」じゃない、めずらしくて見なれないモノ、あるいは概念だったわけで、その理解に至る
までには、たくさんの試行錯誤、咀嚼しきれないがゆえに生じる誤解が数え切れないくらい生まれたはずだ。
いや、ぶっちゃけたハナシ、「そりゃ、ちゃうやろ」ってな“勘違い間違い”も、たんとあったはず。
そういう「美術じゃないモノ」が、突然登場した「美術」との間にうまれたギャップをうめるように、新しいイメ
ージを生み出す試みをしながら、日本の国にとってのあたらしい「美学」である「美術」を浸透させていったのだ。
そして、それは当初「見世物」として、広く大衆に受け入れられた。
たとえば、「みたことのない異国の景色」をどうとらえるか。
「どうやら足や手がとても長いらしい、またある異国人は胸に穿があいてるらしい;そんな異国のヒトのカラダ」を、
諷刺をまじえてどう描いた?
「ヒトが紙の上に生き写しになるらしい」写真というあたらしい技術で何を写す?
それらを見せる「見世物」小屋にヒトが詰め掛ける。異国の見聞を「生人形」でみせる小屋。
遠くで戦ってる兵隊さん達のように戦場を体験する、パノラマ館、などなど。

当時、石膏像を「さらし首」ととらえる感性が、日本人にはあった。または「白石の仏像めきたるもの」、と。
お上がつくった美術学校(工部美術学校)では、新しい美学=美術を修得させるために西洋からそれぞれの分野(絵画・
建築・彫刻など)のトップアーティストを招聘した。イタリアから呼び寄せた教師はデッサンをさせようと石膏像を
持ち込んだが、いざ、生徒には、そううつったという。
その段階から、日本に「美術」という概念を定着させる過程には、それこそ消し去られたモノたちも数々あろう。
しかし、今、「美術」を考える上では、その「消し去られ」「忘れられ」「なかったことになっている」部分を、
じっくり見直すことが必要であって、そこにいろいろおもしろいモノがみつかる。
そして、「見世物」にあったイリュージョンや、そこからかき立てられる想像力こそが日本人の美に対するチカラ
なんじゃないか。
なぜ、これほどまでに「美術」の周辺にこだわるのか。それは、わたしは、「美術」というコトバ・概念だけでは、
日本における今の時代の「美術」は語れないと考えるからだ。

まずは、
浅草にあります「西洋画工」を名乗る五姓田芳柳・芳松親子の「油絵茶屋」をのぞいてみてはいかがでしょう?
おっと、みなさま、口上が始まりましたよ。

‥‥なんて、今は読んでる場合じゃないんだけど、ちらちら目に入っちゃって、ついつい、ペラペラ読んでしまうぅ。

 

『美術という見世物』 ちくま学芸文庫


*  開館25周年記念特別展『大見世物 〜江戸・明治の庶民娯楽〜』 開催中!!  *

まさに、この本の世界を「覗き見」できる企画が実現!たのしそー!!
土日には、大道芸・口上のデモンストレーションも。
「生人形」、元祖動物園?!の「動物見世物」などなど、みどころ満載さ。
“すっとこどっこい”な日本人のクリエイティビティが炸裂!!か?
江戸から、西洋文化流入期の明治時代にタイムスリップだ。

2003年11月1日(土)〜12月14日(日) at たばこと塩の博物館(東京・渋谷)
くわしくは、こちら。http://www.jti.co.jp/Culture/museum/tokubetu/eventNov03/index.html
期間中、木下先生ご参加のシンポジウムも開催予定のようです。


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